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その日の授業を終え校舎を出た5人は並んで歩きながら校門へと向かっていた。
「あー今日も授業かったりかったぁ~」
彰が身体を伸ばしながら言う。
「かったるいも何もお前、授業中殆ど寝てただろ」
「ホントホント」
翔が呆れたように呟き、美央もそれに同調した。
「彰、いい加減にもう少し真面目に授業受けないと後で困るわよ」
「う…沙羅の説教はいいよ。」
真っ当な沙羅の言葉に彰はバツが悪そうに答える。
「説教って…私は彰の事を思って言ってるんじゃない」
「だからそれを説教ってんでしょ?」
そんな彰と沙羅のやりとりの間に雅樹が入る。
「まぁまぁ沙羅も人にはそれぞれペースってもんがあるんだから、頭ごなしに言っても無駄だよ。特に彰にはね!」
「さすが雅樹!よく解ってるねぇ」
「でも沙羅の言ってる事も尤もなんだから彰ももう少し努力すべきだと思うよ?」
「ちぇっ…結局それかよ~」
彰はややふて腐れた様子で呟く。
そんな会話をしながら5人が校門に辿り着くとそこには一人の男が立っていた。
「あっ!あんたは…」
その姿を見た彰は思わず男を指差して声をあげた。
「やぁ今朝は済まなかったね、火村彰君…。」
その男は彰が今朝出会った謎の男であった。
「何で俺の名前を…」
怪訝そうに言う彰に対して男は先程、彰が落としていった生徒手帳を差し出した。
「これを拾ってね…。君に返しに来たんだ。」
「そりゃ…わざわざどうも」
彰は男から手帳を受けとると一応礼を述べた。
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