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だから、その人物が三日月亭を訪れたことに、ルナは危うくひっくり返るところであった。
「ヴァプラ少将から、話しは聞いている。踊り子のルナとは貴様か」
ルナは、気が遠くなりそうだった。よりにもよって、有名人を寄越すことも無いだろうと対応に参った。普通の傭兵ならば、格闘や薬でなんとでも逃げることができる。然し、相手は、超巨漢の猛獣だ。刃向かう前に死を見るだろう。周りもなにごとかと息を潜めている。三日月亭を破壊されても困るので、ルナは、小さく返事をした。
「はい、あの、何用にございますか?」
「ヴァプラ少将からの言付けで、迎えに着た。今から、同行してもらう」
「わかりました。何れ、部下を寄越すと聞いて下りましたので宜しくお願いします」
ルナは、そう言うしかなかった。三日月亭を出るとヘカトンケイルは、市のある方へと歩き出す。ヘカトンケイルの身体は、目立つ。しかも、雇い入れたことを公言しているように見えた。それが、何を意味するのかルナにはわからない。ただ、下手に拒否しては、相手を怒らせ兼ねないと、後ろを黙って着いて行った。それしか選択肢が無かったのだ。
ヘカトンケイルは、工場街へと移動している。
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