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また、別の日の夕方、三日月亭に軍兵が集まった。
会合があるとは聞いていたが、軍兵の集まりというのは、ルナにも興味がある。
早速、亭主に願い出て、舞を披露する段取りを取り付けた。
軍兵が集まるとなると近い内に戦に出向くかもしれない。そうなれば、イストリアの軍隊にも連絡を取らなければならなくなる。とはいえ、踊り子に話を聞かせる程、ネフティスの軍兵も口は、軽くはない。さて、どうやって話を聞き出そうかと考えながら、紅を差す。覗く鏡は、ルナを助けてくれたイストリア軍の男から貰った。男は、竜騎隊の隊長で現在、南に進軍している。よほどの変わり者で、部下からも信用を得ている。ルナもそんな男のことが大好きだった。ただ、二日前の晩、その大切な鏡に亀裂が入っていることに気が付いた。たたき付けた覚えなどまるでないだけに、不安は過ぎる。
踊り子の装いを纏い、息を殺して隣部屋に潜り込む。呼ばれたら素知らぬ顔で、座敷に上がれば良い。後は、特製で作った茸の自白剤で、兵士達に陽気に話して貰うつもりであった。
隣部屋から耳を澄ませる。会合内容と集まっていた者達に、ルナは、危うく声を出すところであった。
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