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隣部屋にはネフィス軍に勤める少将ヴァプラ・シェーシャ・マートナと中将のナフード・バラム・ダクティルが、居たのだから。二人は、数々の戦で成果をあげている。ヴァプラには、「赤雷」、ナフードには、「黒砂」の異名がある。ネフティスに住まう民なら、誰でも一度は聞いたことがある人物だ。
ルナは、一瞬にして固まった。きっと、立ち聞きも知られている。そう考えた。
「てもさ。珍しいよな。ナフが誘うなんてさ。しかも、二人きりなんて」
酒を飲んでいたヴァプラが、大袈裟に言った。
「そうか?」
対して、ナフードは、素っ気ない。
「それで? なんの御用事?」
ヴァプラが、酒を飲み干した。
「うむ。何を貰ったら嬉しいかと」
ナフードが、料理を摘む。焼き魚の香ばしい匂いが、部屋を漂う。
「は?」
ヴァプラが、怪訝な顔をする。
「いや。だから、何を贈れば喜んでくれるかと」
「何を、誰に?」
ナフードの答えにヴァプラが、食いつく。
「やはり、シェリイに聞くのが間違いだったか」
「そんなにはっきりしないのも珍しい。ナフ? 女でもできたのか?」
ヴァプラが、意地悪く問い返す。戦争中もプライベートも愛称呼び。意志疎通できるようにといつかの国王が遊びで命じた。
「できてない」
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