第一章

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「おっと!!」   「あ、危ねぇ…」   「し、死ぬかと思った…」   なんとか受け止めた不良2人に刈魔はやる気のない拍手を送る。   その音に苛ついたのか3人ともこちらを睨み付けて来た。普通なら気付くはずの刈魔の筋力に気付くことなく。   「なにしやがんだてめえ!!」   「ぶっ殺すぞコラ!!」   「…黒羽、目ぇ瞑って10数えてろ」   「………(コクコク)」   ギャアギャア喚く不良を無視して黒羽に優しく語り掛ける刈魔の顔は少し柔らかい。   刈魔の言葉を信じ、目を瞑った瞬間刈魔は手に持っていた袋を落とした。   「……いーち」   素早く不良達に掛けてまず1人目の顔面を殴り付ける。   「……にーい」   倒れ込む不良1を無視して素早く不良2の頭を掴み、地面に叩き付けた。   「……さーん」   そして最後の不良を踵で横っ面を蹴り飛ばし、3人共気を失った。   「……しーい」   そして1人を近くのゴミ捨て場へ捨てる。   「……ごーお」   また1人。   「……ろーく」   最後の1人を捨て終え、近くのゴミ袋を上に乗せていく。   「……ひーち」   完全に見えなくなった不良を後にし、黒羽に近付いていく。   「……はーち」   黒羽の真正面で止まり、袋を拾う。   「……きゅーう」   ため息を吐き、黒羽の頭へと手を持っていく。   「……じゅっ」   目を開いた瞬間頭に手を乗せられた。   黒羽が確認すると、刈魔が優しく微笑みながらこちらを見ていた。   「よく我慢出来たな…偉いぞ?」   「……………ふぇ…」   気が緩んだのか、涙腺が崩壊して刈魔に抱き付いた黒羽。   怖かったのだ。   張り詰めていた緊張が解け、刈魔の優しい笑顔で安堵したのだろう。   『…はぁ…面倒くせぇ…』
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