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見た感じではそこまで問題事に巻き込まれているようには見えないが…。
『……まぁ俺には関係ないか』
問題はどうやって帰すかである。
今黒羽はジド目を止めた変わりにかなり羨ましそうにオレンジジュースを見ている。
これやるから帰れでは問題解決にはなりそうにないが…。
「…黒羽はなんで俺の家に来たんだ?」
「………関係なか…」
「関係ないなら帰ってもらうぞ」
「…………関係ある…」
「…だから…その関係あることを話せってんだろ…」
「………(プイ)」
「……いい度胸だな」
刈魔はゆらりと立ち上がり、一歩ずつ黒羽に近付いていく。
いまだに顔を反らしている黒羽だが、その顔には怯えが見てとれた。
そして黒羽の側まで来た刈魔はゆっくりと拳を振り上げ…多少は加減しつつ拳骨を食らわせた。
『ゴツ!!』
「んゅ!!!!~~~~~~!!!!」
頭を抑えフローリングへ転がり落ち、そのままぐるぐると回りながら痛みを全身で表現する黒羽。
刈魔は再び椅子に座るとその様子を冷めた目で見ていた。
しばらくすると痛みが少しは治まったのか、かなり泣き崩れた黒羽はこちらを涙目で見ている。
「………ぼーりゅく……はんたい……」
「理由を話さないならあと三万発は食らわせるが?」
「……………………………………………話す…」
よほど痛かったのか、長い沈黙があったものの話す決意をした黒羽。
警戒心をバリバリにする黒羽に近寄り…刈魔は拳骨を食らわせた部分をそっと撫でた。
「…………ふぇ…?」
「初めからそうしてればいいんだよ…ったくめんどくさい」
あまりに極端な飴と鞭。
何故か目をハートにさせている黒羽には気付かず刈魔はそっと笑い掛けた。
ますます目の中のハートが大きくなったのを…やっぱり刈魔は気付けなかった。
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