第二章

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「………そっか……ボク……泣き疲れて……」   黒羽が目を覚ますと周りは知らない部屋だった。   異性の部屋にキョロキョロしていると、ドアをノックする音が聞こえる。   「おい、起きてるか黒羽?」   「…………起きてる……」   「んじゃあ下に来い。飯作ってるから」   言いたいことを言った刈魔の足音が遠ざかって行く。   寝起きで少しクラクラする頭を強制的に作動させ、ベッドを出…ようとして固まった。   「……………ベッド…?」   異性のベッド。   気になっている人のベッド。   黒羽はごくんと息を飲み………枕カバーを外し、服の中に隠して降りて行った。   下へ降りると美味しそうな和食料理が『二人分』並べてある。   「………ほぇ…?」   「なにしてんだ?早く座って食え」   「…………いいの……?」   「食べないなら片付けるが?」   「……た…食べゆ……!!」   慌てて席に着く黒羽に添って刈魔も箸を手に取る。   「じゃあとっとと食って学校の準備しろ」   「………………………あ……」   しまったと顔をしかめる黒羽。   その様子を見ただけで刈魔は察したようでため息を漏らした。   制服を持って来ていないようである。   「…………グスッ…」   「泣くな…ったく…今日はサボって買い物付き合ってやるから」   「………でも……お金が……」   「……やっぱ明日の休みに買いに行くぞ。明日金が入る予定だからな…黒羽は今日はここにいろ」   刈魔の言いたいことがわかったのか、黒羽は目を見開いて言葉を失っていた。   そして次のセリフに黒羽は刈魔に抱き付いて泣き付くことになる。   「お前がいたいだけここにいろ…ただ家事は分担な?」
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