第二章

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そんな美少女に囲まれながら誠司は少し落ち込んだように小さく愚痴を溢した。   「……刈魔はいい奴なのに…」   無論誰にも聞こえることはなかった。   ――高橋刈魔視点――   刈魔が学校の玄関に入ると、たまたま近くにいた生徒はすぐさま壁にへばり付きカメレオン化していた。   しかし刈魔はそのカメレオン男を壁から引き剥がし、床へと叩き付ける。   「へぶっ!!」   「なに朝っぱらからキモいことしてんだ?てか起きろ」   「お前のせいだかんな!?」   「俺は珍しい生き物がいると思って捕獲しようとしただけだぞ?」   「もう人間としてすら見えてなかった!?」   ギャアギャア喚きながら叩き付けられて痛めたのか膝を抑えているこの男。   名は白石小鉄(しらいし こてつ)。   顔は悪くないのだが、女好きのせいでモテないこれまたテンプレ通りの男である。   身長は170cm前後。   「というわけだから早く死ね」   「いきなり死刑宣告!?俺今日はまだなにもしてないんだけど!!」   「息をするだけで地球の方々の寿命を下げている」   「俺何者!?」   「有害で生きてるだけで世界を破滅に導く細菌」   「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」   その場を走り去る小鉄の目が光っていたのは見なかったことにしよう。   毎日の日課が早くも終わり、スッキリしたようにその場を後にする刈魔。   しかしその目は少し呆れ気味。   「…どうせ同じクラスなのに逃げても意味ないと思うが…」   ――おまけの黒羽たん――   「………ふみゅ…」   トイレを探しているうちに転けていた。   「………うにゅ…」   ちょっと溢れた涙をお腹に入れていた枕カバーで拭いていた。   「…………かるま……なにしとっと……かな……」
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