第二章

8/13
前へ
/935ページ
次へ
「頼む!!」   屋上にて男子生徒は土下座しながら頼み込んで来た。   男子生徒の名は平田。   相談したい悩みは…。   「引き受けた。ちょっと金は足りないが…初回ってことでまけてやるよ」   「恩にきる!!」   刈魔は7万円をポケットに無造作に押し込み、屋上を後にした。   目指す場所は学校裏の不良の溜り場である倉庫。   ――10分後――   「待たせたな」   「早っ!!」   刈魔への依頼内容は不良達に奪われた『ある物』を取り返して欲しいというものだった。   そして今刈魔が手に持っているものは、写真を入れるタイプのペンダント。   それを受け取った途端平田は泣きながらペンダントを開き、中を確認する。   そこに映っていたのは初老の女性。   「よかった…本当に…よかった…」   「……差し支えなきゃ教えて欲しいんだが……中の写真は誰だ?」   「……お母さんだよ…俺を産んで……すぐに亡くなった…」   「…聞いて悪かったな…」   「いや…普通は気になるもんだろ?本当にありがとう」   泣き顔を無理矢理笑顔に変えて笑い掛けてくる平田。   しかし刈魔はもう用は無いと言わんばかりに屋上を出て行く。   「本当にありがとうな!!!!」   感謝の言葉を背に受けて。   ――   この日、体育の先生が備品の点検に倉庫に来たのだが、そこは地獄絵図だった。   不良達が10人以上倒れており、歯がボロボロになっていたり、髪の毛をむしり取られていたり、酷い生徒は腕が間接とは違う所から折られていたり。   すぐさま救急車を呼びながら先生はふと考えた。   こんなことするのは…あいつだけだろうなぁ…と。   「…全く情けないねぇ…不良だからというだけでそこまで慌てない自分自身が…」
/935ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16983人が本棚に入れています
本棚に追加