第二章

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臨時収入が入り明日の買い物の心配はなくなった。   今日依頼が入らなかったら近くのコンビニでたむろっている不良と『お話し合い』で稼ぐ予定だったが。   教室に戻るといつも通りの光景が広がっていた。   平塚誠司に弁当を食べさせようと駆け寄る女子軍団。   それを困った顔で…しかし拒否出来ずに悩む本人。   「あ!刈魔帰って来た!」   涙々がいつもの笑顔で話し掛けて来たので片手を上げて返事を返す。   そして更に足を振り上げ…。   『ドン!!!!』   お腹にズンと響く大音量に騒ぎまくっていた女子達の奇声は収まった。   ゆっくりと口を開き、いつも通りの営業文句を口にする。   「平塚に飯食わせたい奴は名乗り出ろ。一番多く金払った奴は2人で食わせてやる…逆に少ない奴が邪魔をしようもんなら沈める」   そのセリフに一同はポケット、もしくはカバンに入っていた財布を取り出し刈魔を見据える。   ニヤリと邪悪な笑みを浮かべた後、彼は大声で叫んだ。   「さぁさぁ2人っきりで平塚誠司と弁当を食える奴はどいつだ!?1万からだ!!!!」   ――放課後――   相も変わらず平塚誠司は金を稼ぐ絶好のサンプルである。   財布がまるまる太り、一般サラリーマンが1ヶ月に稼ぐ程の金が入っているが、刈魔は特に嬉しそうな顔をせず帰宅していた。   誠司はまた刈魔と帰ろうとしたのだが、『平塚誠司と一緒に帰れる券』を5万で買った女に引きずられながら別々に帰っている。   涙々は友達と帰り、小鉄は何故か泣きながら帰って行ったので今は1人である。   こうして自宅にたどり着いたのだが、何やら換気扇からどす黒い煙が出ていた。   「……あのバカ…何かしやがったな…」   頭痛を覚えながらも、玄関のドアを開けた。
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