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「ほら食え」
簡単な野菜炒めを作り、テーブルの上に置くが本人はガクガク震えながら部屋の角で壊された掃除機達でバリケードを作っていた。
かなり頼りないが。
刈魔はため息を吐いて、自分の分だけパクパクと箸を進める。
彼女から『ある単語』を聞かないと刈魔は許さないつもりだ。
「…………かるま……」
「…………」
無視して食事を進める。
黒羽は泣きそうになりながらワタワタとバリケードから出て来てすぐそばまで近寄って来た。
しかし全く反応しない黒羽は溜めていた涙を溢して刈魔の服を掴み……。
「…………かるま……グスッ……ごめんなさい………ヒグッ……もうしません………」
「……はぁ…許す」
「……ふぇ…?」
謝罪して来た黒羽の髪を撫で柔らかい口調の刈魔に黒羽は濡れた目で見て来た。
まるで許されないと思っていたようだ。
「最初から謝れば許してやったのに…ふぅ…ちゃんと反省してんだな?」
「……!……(コクコク)!」
「もうしないな?」
「……(コクコク)!!」
「じゃあいい、ほら飯食え」
ナデナデを止め、テーブルの反対側の料理を箸で差しながら刈魔は再び食事を開始した。
もう怒っていない…それだけで黒羽はその場にペタンと座り込み、再び泣き出した。
流石の刈魔もほんの少しだけ焦り、お仕置きし過ぎたか?と慌てて彼女の目線に合わせるように座る。
「おい、どうした?」
「……グスッ…ぅぅ…かるまに……嫌われちょかんって……わかったら…安心して……ヒグッ…」
「…はぁ…それだけかよ…嫌いな奴はたくさんいるがお前はその中には入ってない…だから泣き止め」
「………うん……う゛ん゛……」
黒羽が泣き止む頃には、料理は冷めてしまった。
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