第一章

5/17
16981人が本棚に入れています
本棚に追加
/935ページ
――   「なんだお前ら?」   家賃その他諸々を支払い、残りのお金を銀行に振り込んだ帰りに刈魔は男集団に囲まれていた。   「今日こそ借りを返させてもらうぞ!!」   なんかリーゼントの人が出て来た。   今どきリーゼントって…。   「…お笑い芸人?」   「違ぇよ!!一週間前にお前にやられた谷沢だ!!」   「あぁタニーか」   「なにその愛称!?俺結構ゴツイと思うんだけど!?」   「兄貴!!わざわざツッコミ入れなくてもいいじゃないっすか!!」   「あ、あぁ…そうだな」   「んで何の用だタニー?」   「最初に言ったよね!?借りを返しに来たんだよ!!」   「俺何か借りたっけ?」   「お茶目なボケかましてんじゃねぇよ!!お前そんなキャラだっけ!?」   『バゴーン!!!!』   男達の余裕の笑いが一瞬で消えた。   刈魔の足元のアスファルトにはヒビが入っており、右足は完全に埋まっていた。   ゆっくりアスファルトに埋まった足を引き抜くとゆらりとタニーを見据え…。   「もう一度聞く…何を返しに来たって?もちろん金だよな?」   「「「「もちろんです!!!!」」」」   刈魔の財布に一気に夏が訪れました。   ――   「なんなんすかさっきのやつ!?アスファルトを踏み抜くなんて化け物じゃないっすか!?」   「…………」   「あ、金取られて呆然としてる」   「もう帰ろうぜ?」   「あぁそうだな」   「………ちくしょう…」   ――   足取りは軽く家に着いた刈魔。   見た所普通の二階建一軒家だ。   ポケットから数十個ある鍵を取り出し、1つを鍵穴へと差し込む。   一回で鍵が開き、中へと入った。   「さて…臨時収入も入ったことだし…今日は外に飯食いに行くかな」   ドアノブの鍵を閉めると、連動して十個はある鍵が閉まっていく。   完璧な泥棒対策である。
/935ページ

最初のコメントを投稿しよう!