第一章

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「……………」   「なんで名前知ってるかって顔だな…お前結構有名だぞ?」   一時間以上負け続けたからか悔しそうにこちらを睨み付ける少女は一三高等学校では有名人。   アイドル並みに可愛らしい顔と卓越したバスト。   そして平塚誠司に墜ちていない美少女として人気を得ている。   「…………」   「んな睨むな…というかよく金が持ったな」   「…………」   「…100円ケース持ち歩く女子高生とか初めて見たぞ…」   「…………」   「あぁわかった。わかったから睨むな、もう話し掛けねぇよ」   女子のガン付けなど怖くはないが、めんどくさいことには違いないのでその場を離れた。   携帯で時間を確認するとちょうどいい時間になっていたので行き付けのラーメン屋へと行くことにした。   ――   「いらっしゃい!!…お、高橋じゃねぇか!!」   「久しぶりだな親っさん。味噌ラーメンくれ」   「はいよ!!ちょっと待ってな!!」   ラーメン屋藤原。   商店街の端っこにひっそりと建っている隠れた名店である。   中も古いし見た目も悪いが味だけはかなりイケると地元の人達から人気を集めている。   刈魔はここの常連で、すっかり店員さんとは顔馴染みになっていた。   「へいお待ち!!しっかり味わいな!!」   割りばしを割り、ラーメンを啜ると深い味わいが口に広がり、普段は絶対見られない刈魔の笑顔がこぼれる。   「やっぱり旨いな」   「まぁ旨くなかったら商売になんねぇかんな!!ガハハハ!!」   「違ぇねぇ」   和やかな空気が流れる店に、1人のお客さんが入って来た。   『ガラガラ』   「いらっしゃい!!……お、今度は維新ちゃんじゃねぇか!!」   「ん?」   「あ?」   二回目の顔合わせであった。
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