第一章

8/17

16981人が本棚に入れています
本棚に追加
/935ページ
「…また会ったな…」   「………(コクコク)」   「お!なんだお前ら知り合いか?」   「ん…まぁ同じ学校ってだけだ」   「あぁそうかい…さて、維新ちゃんも味噌ラーメンだったな」   「………(コクコク)」   もし親しい友人ならここで会話でも繰り広げられるのだろうが、今日会ったばかりのほぼ他人に会話など期待する方が無理だ。   刈魔は黙って麺を啜り、黒羽は椅子に座り無表情で一言も喋らずに黙っていた。   「へいお待ち!!」   運ばれて来たラーメンを受け取り、凄い勢いで食べていく黒羽。   思わずポカンとする刈魔だったが、親方はいつものことのようで朗らかに笑っていた。   「…………なん?」   「あ、いや…腹減ってたのか?」   「…………関係……なかやろ…」   「ん…まぁ…そうだな、悪い」   初めて聞く声はかなりのアニメ声の方言だった。   刈魔は先に食べ終わり、先に会計を済ませる為に親方を呼び出した。   「ごちそうさま、いつも通り旨かった」   「おう!!嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!!500円だ!!」   「…ほら、じゃあな」   「またのお越しを!!」   まだ食べている黒羽を横目に見ながら外に出た刈魔。   近くにスーパーがあるので、残り少なくなっていた調味料などを買うことにした。   「んー…確か塩と一味唐辛子が少なくなってたな…あーあとサランラップもだな」   スーパーへと足を踏み入れ、カゴを手に引っ掛け次々に入れていく。   意外と家庭的な刈魔はゴミ袋や洗剤などもカゴに入れる。   「後は………まぁついでにインスタントでも買うか」   日頃から自炊を心掛けてはいるものの、そりゃたまにはめんどくさい時もある。   インスタントのラーメンやカレーなどもカゴにぶち込んでいき、カゴの中身はかなり大量になっていた。
/935ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16981人が本棚に入れています
本棚に追加