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「売上だって、黒字だったじゃねーか!」
「だから知らねーって!」
皆、それぞれに守らなければいけないものがある。
冷静でいられるわけがない。
この不況の中、職を探すのがどれほど大変か俺達は分かっていた。
だから、ここ一年で力を合わせ、赤字を黒字に変えて喜んでいた矢先だ。
それが、急に倒産だなんて、信じられない。信じたくない。
俺にだって、守らなくてはいけない家族がある。
嫁に、なんて言えばいいんだ。
だんまりを決め込んでいる店長に対し、周りは苛立っていた。
疑問は罵倒へと変わる。倒産だ。もう、上も下も関係ない。
掴みかかっている者までいた。
いくら罵倒を浴びても掴みかかっても表情一つ変えない店長は、まるで心がない脱け殻のようだった。
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