第二章~暗き森の月の下~

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私はいろいろ考えた。ふと空を見上げると・・・もう外が薄暗い。「戸を閉めなきゃ」私は玄関に置いておいた果実をもって家の中に入ろうとした。今日はなんだか冷え込みそう。その時、森の奥でかすかに音がした。なんとなくだけど、動物じゃなくて、人が通ったような・・・。私はフードをかぶって外へ出た。暗いから、ランプも必要だ。火を付けて私は歩いた。月がほんのわずかな道を照らす。こんな夜に出歩くなんて初めてかもしれない。しばらく歩くと・・・木のところに人影が見えた。うずくまっているようにも見える。何か押さえているみたい。ケガしているの・・・?そもそも、この森に人間がいるなんて。生まれてきてから、この森で人間に会ったことなんてなかった。「うぅ、痛い・・・」人間がケガを痛がっていた。助けてあげなくちゃ。私はそっと近づいた。「足・・・ケガしているの?」灯りを照らして顔を見た。どうやら少年のようだ。私と同い年くらいの。みすぼらしい服を着ている。なのに、顔は驚くほどに端正だった。一瞬、少女のようにも見えた。体は痩せていた。彼は私をじっと見つめてきた。フードをかぶっているから、私の顔が見えないのだろう。私はフードを外した。
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