第三章~王女様の箱庭~

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僕はまた、王女のそんな顔に見惚れてしまう。「なんだ?」「いや、なんでも・・・」「アリア様、本日のご予定をお持ちしました。」そういって王女の前に紙を置くメイド。初めて見た。「うむ、ご苦労だ、ステファニー」ステファニーと言う名前なのか。「あ、もしかして昨日から入った王女付きの召使?へぇ~」彼女は僕の顔をまじまじと見た。「ねぇ、ちょっとこっち来て」「え、いや・・・」アリアはきょとんとした眼差しをしてきた。彼女は僕の服の裾を強く引っ張って、耳元で囁いた。「名前は?」「・・・リリスだけど・・・」「女みたいな名前だね。まぁいいや。リリス、悪いことは言わないから、王女様の機嫌を損ねないほうがいいよ。」・・・そりゃそうだ。にしても、彼女はすらりと背が高く、活発そうな顔つきだった。フリルのメイド服が実に似合わない。「王女様はわがままだけど・・・多分、誰よりも悲しい人なんだよ。だから感情的になりやすいわけ。機嫌を損ねるような事言ったら・・・後が大変だよ」悲しい人??この意味が僕にはまだ理解できてなかった。「ま、仕事でわからないことあったらなんでも聞いて!あたし、けっこー手際いいんだよ?」「うんわかった。頼りにしてるよ」僕は彼女に言った。
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