第一章~はじまりの日~

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僕はしばらくその美少女に見とれてしまっていた。ここへ来る途中で会った少女も美しかったが、あの少女はまた違った美しさだ。あの子は人形とはまた違う、そう、例えるならば小鳥のような愛らしさが顔に現れていた。だが、この女の子は、はっきりいって人間味がぜんぜんない。肌も真っ白で透けているようだ。僕がぼぅっとしてると、女の子は話しかけてきた。 「その貧弱な体でよくここまで来たものだな」 あれ・・・?と僕は目を見張ってしまう。想像とはまったく違う声に話し方だったからだ。ピアノのような高い声を想像していたのだが、ずいぶんと低く、かすれた声だった。まるで、魔女のお婆さんのような。 「おなごのような端正な顔立ちだな。私の姿がそんなに珍しいかね?」「い、いや、そんなことは・・・」なんで僕、子供相手に緊張しているんだろう。それに、僕の顔は端正だろうか?「アリア様ー!!」上から一人の男が降りてきた。アリア様って・・・この城の持ち主ってこと?「アリア様・・・また勝手に城から出ようと・・・」「ふん、私の勝手だろう。」男は僕の顔を見て、女の子にこういった。「アリア様、この方が・・・」「あぁ、まぁな、そういう事だ。」
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