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「だって、ご主人様は高校生でしょう? エロいことにしか脳みそを働かせない種族でしょう?」
「それは偏見じゃないかな」
僕の発言がそれほど信じられなかったのか、彼女は眠れる獅子も飛び起きかねない勢いの起立を果たすと、僕の肩を揺すった。脳みそが揺らされ、堪らなく不快になった。眩暈の残る中、何とか言葉を紡ぐ。
しかし、そういわれると、確かにこれでいいのかな、とも思うようになる。高校生になった途端女の子のことを急に性対象として意識するようになった友達を若干気持ち悪いとひきつつ、猥談もそんなに楽しいかと思い、正直回りより一歩遅れてるのじゃないかと不安になることもあった。
だけれど仕方がないものは仕方がない。人を好きになるとはどんなものかわからないのだ。小中学生の可愛らしい初恋と高校生のそれ、何が変わるというのか。
「ううん、そりゃあれですよ。下心……? それも若干浅瀬の。あえて言うなら潮干狩りでしょうかね。アワビなんて到底見つかりませんから」
「ちょっとその比喩はわからないけど、つまりエッチか否かってこと? 高校生ってそんなの意識するの」
「普通なんじゃないでしょうか、それは。最近のマセガキはこれだから」
「……あれ、もしかして、君もあんまり分からないんじゃないの?」
「う、うっせぇです、ご主人様。それからついでに挨拶を忘れてたこと思い出しました。私はハー・トリアーニャ。ハートと御呼びください」
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