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喫茶店
『桜空』
「はぁ~…」
アルバイトの水野雫は店内を見渡した。
カウンターでコーヒーを飲みながら読書をしている男。
本の表紙には「楽しい庭作り」と書いてある。
(…どこに庭がある)
「はぁ~…」
「さっきからため息ばかりだな…人生楽しくならないよ?」
カウンターの男が話かけてくる。
「だって神代さん、ここ一週間近くお客さん来ないじゃないですか!?」
「そういう時もあるよ」
「こんなに暇だったら私を雇う必要とかないのでは?」
そう言われると神代は天井を見上げ
「う~ん、ないかもしれないね」
軽く微笑む。
(ちくょ~素敵な笑顔じゃないか!)
鼻血がでそうになる。
なぜ、こんな暇な店で私が働いているのか、話は半年ほど前に遡る。
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