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【ひとつ】詩音L5発症
――お姉から電話があった
圭ちゃんが人形をくれなかったという内容。
私からすればそのくらい、悟史くんを失ったことよらは全然いいじゃないか。
前まではそう思っただろう。
しかし今は違う。
圭ちゃんが憎い。
私のお姉を泣かした圭ちゃんが憎い。
圭ちゃんが人形を渡したレナさんも憎い。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い……
アイツらがいなければお姉は傷つかなかった。
アイツらがいなければお姉は私だけのものになったのにッ!!
……そうだ、全ての元凶になったアイツらを消そう
そうだ、そうしよう
ちょうど綿流しも近い
悟史くんがいなくなったのは沙都子のせい
なのに沙都子が笑って暮らせているのは梨花ちゃまのせい
お姉が泣いたのは圭ちゃんのせい
圭ちゃんがお姉に人形を渡さなかったのはレナさんのせい
全て消してしまおう!!
まずは私と魅音を区別した鬼婆からッ!!
――――――
全てがおわった。
全ての元凶を消した私は横たわっている詩音のすぐそばにしゃがみこんだ。
詩音の首は血だらけ。
自分で引っ掻き初めて……
・・・
そのまま眠ってしまった。
そう、詩音は寝ているだけ……
寝ている詩音の頬を撫でる。
驚くほどに冷たくなっている。
あぁ、こんな地下にいるから体が冷えているんだ……
適当に放り投げてあった毛布をかける。
なんだか……
首が痒い…
気づくとさっきの詩音みたいに首をかきむしっている。
なんだか息も苦しい。
少しむせると血が一緒に出てくる。
口の中が血の味しかしない。
あ、これじゃあ詩音とキスも出来ないじゃないか。
血の味がしちゃ嫌だろう。
……いや、私の血だからいいか。
嫌がっても無理やりしてしまえば。
そう思いキスをしようと近づこうとした。
だが視界がグニャリと曲がり倒れてしまった。
なんで?
そう思いふとすぐ目の前にある地面に目を向ける
血、血、血
あたりが血の海。
私の血もあれば……これは詩音の血だろうか?
とにかくあたりは血の色。
詩音と私の血がまるで混ざっていくかのように……
これで、私……と詩音、ひと、つに……
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