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清那は話の展開が全くつかめないまま、気付けば森山と2人で生徒会室に残されていた。
「……私って生徒会に入る事になってます?」
「え、何も聞いてない?」
清那の言葉に目を丸くする森山。
「いや、何も聞いてないってのはアレですけど……」
彼の反応に驚いた清那は、その首を慌てて横に振った。
「原田が神崎さんにしたいって言いだしてね。まぁ僕も神崎さんの内申書見て、君しかいないって思ってたけど」
「はぁ……」
「後はここにサインするだけなんだけど」
清那の前に差し出された1枚の紙。
日付と名前を書く欄だけが空白になっている、書き手にわかりやすい申請書だった。
「無理にとは言わないよ。神崎さんが決めていいから」
『君しかいない』と言った割に 淡白な森山。
清那は内心、この場から今すぐに離れたいと思っていた。
生徒会が嫌だからではなく、この場の重苦しい沈黙が嫌だからだ。
初対面で話す事がないのは仕方がないが、この狭い空間で2人しかいない中、ただ黙っているというこの現状が、清那にとってはどうにも堪え難い。
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