生徒会へようこそ

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彼女達が通う学校は、工場の向かいに建つ内山高校だ。 県内でも珍しい全日、夜間、昼間の3つが併設された高校である。 ちなみに、昼間定時の生徒は全て女子のみで構成されている。 清那達のクラスは1A。 生徒は全部で20人。 入学してから一度も登校していない生徒や、すでに学校をやめた生徒もいるせいか入学当初に比べれば、幾分その人数は減っていた。 「おはよう」 「黒田~」 1Aの担任は黒田博己。 関西出身の独身男だと、入学式の後のLHRで自ら語っていた。 ただし本人が関西を離れて何年も経っているせいか、彼の話す関西弁にはどこか独特の雰囲気がある。 そしてとにかく目をひくのがその体型だ。 彼の身体は回し蹴りをくらえばすぐにでも骨が折れてしまいそうなほど、貧弱で細かった。 ――だから馬鹿にされるんだろ 本人は楽しく出来ればいいとでも思っているのだろうが『教師とはこうあるべき』という理想の高い清那にとっては、彼のやり方などとても理解出来そうにない。 そんな彼のフレンドリーな雰囲気が、瞬く間に生徒達へ友達感覚をうえつけていく。 生徒の1人が彼に携帯の番号を聞き、なんの抵抗もなくすんなり教えた事もそれを後押した。 そしてその番号は、1週間もたたないうちにほとんどの生徒の間に出回ってしまう。 そんな事もあってか、クラスの中で黒田を先生付けで呼ぶ人間は清那以外存在しない。 だが彼女自身、彼と会話を交わす機会はないに等しいため、彼を『先生』と呼ぶ機会すらないのが現状だった。
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