プロローグ

5/5
前へ
/5ページ
次へ
その様子を密かに伺っていたミノルも、相手が武器化させたのを見ては睡眠薬だけではダメだと思い、懐から小刀を取り出した。 そしてゆっくりと、なつの前に姿を現す。 「アンタか、さっきからうちのこと見てたんは」 ミノルが姿を現すと、なつはすぐに口を開き、薙刀を構え直してそう言った。 ミノルは「あぁ」とだけ言って小さく頷く。 二人とも戦闘態勢はとったままである。 普段からあまり黙っていられないなつは「ふーん」と頷いてから再び口を開いた。 「アンタ何しに来たん?こんな綺麗な所に、ただうちと戦いに来たんか?」 そう問いかけて、薙刀を構えたままミノルの返答を待つ。 ミノルは間すら空けず散歩だと答えた。 そして次ぐ。 「しかし敵と会ってしまったなら戦わざるを得ないだろう」 その言葉に、なつは「へぇ……」と漏らしてから薙刀の柄を伸ばす。 「ま、そりゃそうやな」 そう言って薙刀をミノルに向けて伸ばしていき、彼の右頬ギリギリのところを通過させて、その奥にある木に刃を刺した。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加