なんで?

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非常階段に座り、心を落ち着かせる。 ポケットから封筒をとる。 かわいいピンクの封筒。 『山崎 二郎 様』 僕の名前。 学校には、同姓同名がいないから、間違いなく僕宛ての封筒。 どうか、ラブレターじゃありませんように。 祈るような気持ちで封を開ける。 開けた瞬間に、かすかに香る、甘い匂い。 いい匂いだ。 思ってしまった自分に寒気がする。 いかん、いかん。 冷静になろう。 ピンクの封筒と同じピンクの便箋を開く。 はは……、かわいいな。 もう、かわいた笑いしかでない。 『突然の手紙にびっくりしたと思います。 山崎さんと初めて会ったのは中学三年の時でした。 一目惚れでした。 受験生だったので、山崎さんと同じ電車に乗りたい。 同じ駅を使いたい。 ただそれだけで受験頑張りました。 おかげで希望の高校に合格出来ました。 合格したら告白しようと思っていたのに、なかなか決心がつかず、今になってしまいました。 あなたが好きです。 どんな返事でもかまいませんので、返事待っています。 秋』
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