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ぶっちゃけて言うと、私は極度の方向音痴だ。
地図を読むことはもちろん出来ないし、一度行った道だってすぐに忘れてしまう。
帰り道だって、風景が逆転してしまうせいで、帰ることはまず出来ない。
だから、四時間もかかってやっと着くような場所には、普通一人ではたどり着けないんだ。
「あー、そうそう。ここで私、確かぐずってお母さんに手を引いてもらったんだった」
私は、そんな独り言をもらすと、迷わず右に曲がった。
てきとうに曲がったわけではない。
こっちが正しい道だという確信があって曲がったんだ。
そう、私は方向音痴を克服した。
“思い出の道標(みちしるべ)”によって。
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