しるべと思い出

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“思い出の道標”――。 その名の通り、道順や風景で道を判断するのではなく、そこを通った思い出を頼りに、目的地をつく方法だ。 道順や風景は今一思い出せなくても、思い出は意外と思い出せる。 もちろん、初めて行く道では使えないけど、2回目以降だったら迷うことはまず無い。 極度の方向音痴の私にとっては、2回目以降だろうとなんだろうと、目的地にたどり着けるのはありがたいんだ。 「たしか、ここはお母さんと手をつないだまま左に曲がったっけ」 次の、分かれ道も難なくクリア。 三年以上前のことだが、不思議と思い出せる。 暑いので少々ダレ気味だけど、何とかたどり着けそうだ。 「あ、駄菓子屋さんだ」 少し歩くと、昔ながらの――昭和を舞台にした映画とかで出てきそうな駄菓子屋さんにたどり着いた。 「そういえば、ここでアイスを買ってもらったんだ」 あの時食べたアイスは、おいしかったなぁ。 お金も少しは持ってきてるし、買って行こう。 「これください」 「はいよ」 100円のアイスを一つ買った。 氷菓子系のアイスだ。
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