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真夜中の、身の引き締まるような冷気。
なのに、眼下に倒れている童顔で小柄な娘は、この季節に半袖ミニ丈のメイド服だ。
―――こんな時間に、どうしてメイドが? どうやってうちの敷地に入ってきたんだ?
疑問点が次々と浮かんできたが、はっとして彼はしゃがみ込んでメイドを抱き上げた。理由はともあれ、こんなところにいつまでも放置しておくわけにはいかない。
「かる…冷たい……?」
というよりも、体温を全く感じない。
慌てて家の中に入り、メイドをソファーに寝かせる。蓄熱暖房機のおかげでリビングダイニングはほんのりとあたたかいが、全ての暖房機器のスイッチを入れた。
「場合によっては救急車だな」
早口で呟いて、脈を取ろうと手首に触れる。しばらく脈を探した後で、彼の動きが止まった。
恐る恐る、メイドの顔の前に手をかざす。
―――脈もない! 息もしてない!
ドサッ、と彼はフローリングの上に尻餅をついた。
「し、死んでるの…か…!?」
瞬時に頭の中がパニックに陥る。まず何をすればいい? 人工呼吸? それとも心臓マッサージ? だが身体が全く言うことを聞かない。
何とか立ち上がろうとしていると、メイドがぱっちり目を開けてむくっと起き上がった。
「…………!!」
声も出せずに、彼は再びフローリングにへたり込んだ。
「あれ? 私どうしてこんなところに?」
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