15人が本棚に入れています
本棚に追加
久々に早起きをして、自転車を走らせた。
『おはよー!荷物はどこだぁ?』
もうトラックがマキの家の前に停まっていた。
マキとマキのお母さんが荷物を運んでいる。
『初めまして、マキさんの友人のヒロです。』
『わざわざ手伝いに来てくれてありがとうね、女2人じゃなかなか運べないからねぇ、助かるよ』
お母さんに俺の話はしてあるみたいだった、『友人』って言った時に少し変な顔をしていた。
もう数時間後に別れてしまう人の事をなんて説明したのだろう、疑問も残るが引っ越しの手伝いをすることにした。
思い出深いモノもある、二人で見たテレビ、二人で座ったソファ、たまに一緒に寝ていたベット、手料理を食べたテーブル、ビールがいつも入っていた冷蔵庫。
運ぶものが増える、別れが近い、なんか切ないなぁ。
そして2時間くらいが経っただろうか?だいたいトラックに積み込んで、一休みすることになった、これが二人で話せる最後の時間かもしれない、お母さんは気を遣ってか二人にしてくれた。
『マキ、そろそろだな、今までありがとうね。俺なんかと付き合ってくれて、色々迷惑かけたと思うし、仕事と勉強との両立してたのにね…今更だけど色々後悔してる。もう時間は取り戻せないし、もう別れる訳だから何も出来ないんだけど、今までホントありがとう』
短い時間だったけど今の想いは伝えた。
『ヒロはそーやって言ってるけど、今まで喧嘩しないでこれたのはヒロの優しさだと思ってる、何しても怒らないで、笑ってくれてたヒロは凄いと思うよ、私こそ今までありがとう、期限が決まった付き合いなんて誰もが嫌なのに、ヒロは受け入れてくれた、私が仕事と勉強を両立出来たのはヒロと付き合えていたからだよ、今までホントありがとう』
最後にウソでもそんな事言ってもらって、涙が出そうになった。別れを決めた日から今まで凄い後悔してきたから。ホントにありがたい言葉だった。俺って優しかったのかなぁ?
最初のコメントを投稿しよう!