弐・とある知人と鬼死還に関するレポート

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「帰って茸に癒されたい……」 「癒しを求めるもの間違ってない?」  深々とため息をつきながらつぶやくと、その内容にレスートが咎める。 「僕の癒しは茸ですよ?」 「いやいや、普通は恋人とか」 「子どもとか、ペットとか」 「そういうものが癒しになるんじゃない?」 「はぁ……」  二対の紅の瞳に見据えられながら、クルト-ラはあいまいな返事をする。  そうは言われてもクルト-ラに恋人なんかいないし、結婚もしていないから子どもも持っていない。  ペットは、一度考えたこともあるが、世話をできるか心配だったので止めた。  誰かを幸せにしたり、養えるような甲斐性はクルト-ラにはない。  ついでに、お金もない。  だからしばらくはそれらを持つことはないだろうという前に、 「そんな茸博士にはこれあげる」  ドンッと、テーブルの上に置かれた毛玉。  茶色のもさもさしたそれは、よく見たら愛らしい瞳と申し訳程度の耳を持っている。  たぶん尻尾と思しき部分をわっしゃわしゃと振ってこちらを見上げる、毛玉。 「あの、これはいったい」 「犬」  テーブルの上の毛玉を凝視しながら尋ねると、レスートが即答する。  犬?これは本当に犬なのだろうか。  何かいろいろ――表現しがたい根本の部分が犬ではないような気がする。
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