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「公費だから贅沢するってわけ? 元貴族のわりに貧乏性ね」
「そこまで言ってませんよ。ただ、人手が入りそうなのは確かなんです」
なんせ、今回の探索予定地は広く、首都ヴィタリスから遠い。
ついでに、中継地点に景勝地がいくつかある。息抜きにはもってこいだ。
そう説得して数分、ようやくルナが頷いた。
「茸以外にも楽しめるなら、ついて行ってあげる」
「助かります!」
思わずもろ手を挙げる。持つべきものは悪友である。
「ところで、それ」
それ、と指差されたのは膝の上でふて寝するパドストール。
「それ、何?」
「犬です、たぶん」
「多分?」
鸚鵡返しに尋ねるルナに、クルト-ラは頷く。
レス-トからパドストールを引き取って一週間、結局「犬っぽい」ということ以上はいまいち分かっていない。
食事は市販のドックフードや精肉店の店主から分けてもらえる腐りかけの肉で事足りているし、心配だった懐くか否かもこの通り、すっかり懐いてくれた。
「種族を気にしなければ可愛いですよ」
「さっき私の鳩を食べ掛けられたんだけど」
「……よく言っておきます」
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