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何となく自分のことを言われたのが分かったのかくぅん、とさみしげに鳴く頭をパドストールの頭を撫でて、宥める。
「茸博士が茸以外に興味を持つことなんてあるのね」
「……なんだか色々な人に行っているような気がしますが、ちゃんと興味を持っていますよ。今茸ブームなだけで」
「今年で何年目なんだか」
呆れた口調で漏れる呟きに、思わず言葉を詰まらせる。
とりあえず、二年以上なのは確かだ。
この流れの中、「パドストール」の意味が古い言葉で「茸」の意だなんて、言えない。
「ど、どこに行くか説明がまだでしたよね!? これから説明していいでしょうか」
「……聞いてあげるわ」
ウエストポーちから使い古されたこの国の地図を取り出す。
指差したのは、聖イストリア帝国とネフティス夜皇国に挟まれた湾の左下。
「ヌアクショットの東、海岸沿いに広がる森。アムリタです」
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