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2メートルはあろうかと言う巨体に、頭を覆う布。
その下からは凛々しい虎の顔が覗いている。
何より特徴的なのはその腕だ。おそらくは水晶で出来ているであろう半透明の一対の腕だけでなく、シュトローベル製の腕を24本つけている。
その様は、さながら異国の神を思わせる。
「百腕の巨人」ヘカトンケイル。最近ネフティス軍に雇われた傭兵である。
世間知らずのクルトーラでさえ、徴兵されてたころに名前を耳にするほどの有名人でもある。
護衛や監視につけるにしては、あまりにももったいない人材だ。
「なんでそんな人が来たんでしょうねぇ……」
「小生がどうかしたか?」
ギロリと、猫科独特の瞳孔の細い瞳がこちらを睨んだ。
身体こそ不動だが、その立派な尻尾は不機嫌そうにパシンパシンと荷台を叩いている。
「……ナンデモアリマセン」
あまりの気迫に、クルトーラはパドストールを抱え込んで身を縮めた。
首都を出る前にレスートかシャウラか、あるいはその両方にからかわれたのかもしれない。
あの二人のイタズラは人を選ばない。
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