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ルナは軽く肩を竦めて、こちらを見遣る。
「で、結局虎さんは軍人なの?違うの?」
「いや、違う」
「ならいいわ」
それだけ言って窓の外に視線を移す。
ルナは軍人が嫌いだったはずだ。そういう意味では大変ありがたい人選だったかもしれない。
クルト-ラも窓の外に視線をやってお茶を啜る。ちょうど良い温度になっていてホッとする。
「へカトンケイルさんもいかがですか? 美味しいですよ?」
「それのどこが美味しいの」
よ、とルナが言い切る前に、馬車が急ブレーキをかけた。
零れたお茶が、パドストールに掛かる。
「わぁぁっ!?ごめん、パドストールっ」
「早く拭きなさい! じゃないと身震いして余計出汁が飛ぶわよっ」
大慌てで拭くものを探している間に、パドストールはふるふると体を振って水気を飛ばした。
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