13人が本棚に入れています
本棚に追加
出汁がさらに飛び散るのを、クルト-ラは大慌てでふき取る。
「ほら、だから言ったじゃない!」
「すみません……」
床を拭くクルト-ラの横で、ルナが怒る。
ハンカチで頬を拭いているあたり、そちらにも飛び散ったらしい。
他の客には被害は及んでいないらしく、遠巻きにこちらを見たり、外の様子をうかがおうと幌の窓や隙間を覗き込んでいる。
「にしても、」
皆が気にしているように、外がにわかに騒がしい。何か言い合うような声が聞こえてくる。
今まで見たことのない様な声で、幌の向こう側を唸る。
「ルート選択謝りましたかね?」
「かもしれないわね」
「何も、襲ってくるのは野生動物や魔物だけではなかろう」
唸るパドストールを抱え上げて、ずっと不機嫌そうに黙っていたへカトンケイルが口を開く。
パドストールに余計に吠えたてられているのも気に留めないあたり、さすがである。
最初のコメントを投稿しよう!