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「あのリスとか、もっと近くで見れないかしら」
「どんぐりで餌付けしてみたらいかがですか? いっぱい落ちてますし」
先ほどから風が吹く度に、葉に当たる音を立てながらどんぐりが空から降ってきている。
つばの広い帽子か、傘を持ってくるべきだったかもしれない。先ほどから頭に当たって痛い。
クルト-ラが目に当たらぬよう庇を作りながら上を向いている間にルナはしゃがみ込んで、本当にどんぐりを拾い始めた。
「手袋お貸ししますか?」
「ありがと……どんぐり拾いなんていつ振りかしら。子供の時以来かも」
「僕は毎週こんな感じです……わ、なんでしょこの茸、真ピンクだ」
二人で黙々と、地面にしゃがみ込んでどんぐりや茸を拾い上げる。
「坊主、嬢ちゃん。熱中するのは結構だが、ちゃんと周りに気を配れ。獣や魔獣に襲われたらどうするのだ」
後ろからへカントケイルの呆れような声が投げかけられる。
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