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「双子大佐から聞いておるぞ。小僧はしょっちゅう無断で出かけては襲われて、命からがら帰ってくると」
「まぁ……」
上から重圧感のあるオーラを出しながらこちらを見てくるヘカトンケイルから、クルトーラはツツーッと、視線をそらす。
魔獣にも獣にもたびたび襲われている。そのたびに軍やケイド(役所)のお世話になっているのも確かだ
「やっぱり鍛えてもらったら?素手で熊を倒せるぐらいに」
「いかなるものも猛者となれる、と死んだ強敵(とも)口癖だった。小生の手に掛かれば、一週間もあればその貧弱な体も漢らしい筋骨隆々たる体になれ……」
「わーっ! そ、そのためのパドストールなんですよ実は!」
もそもそと木の下の匂いを嗅いだり短い前足で土を掘ったりしていたパドストールを抱き上げて、ヘカトンケイルの目線まで持ち上げる。
ぽっふぽっふと、前足で虎の鼻先の質感を確かめ始めるパドストール。
「猟師や樵の方に聞きました。犬を連れていくと、熊やイノシシはあまり寄って来ないそうです」
「ま、魔獣相手にはどうするのよ」
「そ、それはその時に考えます……けど、迷子にはもうなりませんよ? 犬は嗅覚が効きますし」
「迷子にもなったことがあると」
「うっ……」
食い下がるたびに墓穴を掘っていっている気がする。
「……余罪については街に帰ってから聞こう」
「はい…」
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