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「終わったなら、早く引き上げるぞ」
倒木に腰かけて黙していたへカントケイルが、服についた木くずや苔をその雄々しい尻尾で払いながら立ち上がる。
「せっかくなら、お昼食べてからにしない? 茸の少ないところで」
「お弁当作ってきたんですか?」
「買ったのよ。茸博士の料理はたまに奇妙な味がするし」
「まだ研究過程にあるだけです! いつかは家庭用のレシピ集を……」
「いいから、帰るぞ」
思わず食い下がるクルト-ラの言葉を、ぴしゃりと遮るへカントケイル。
「先ほどから奇妙な臭いがする。小生一人なら構わぬが……」
そういってこちらを見つめる
、少し剣呑なトラの瞳。
ナイフを装備した女性一人に、茸と犬を連れた丸腰が一人。
頼りないとしか言いようがない。
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