四・調査と予期せぬ再会についてのレポート

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「クルト、お前が何でここに……」 「茸の、イストリアに知り合いなぞおったのか?」 「! 貴様、ネフティスの……!」 「む?」  ルナの問いに答えあぐねている間にも、転がり落ちるように事態は悪化していく。  鎧を着た複数の足音の主たちは茂みの向こうから声を上げ、男の瞳は驚きつつも確実にクルト-ラを認識する。  一人なら何とか誤魔化せたかもしれないが、この状況にへカントケイルまで混じったのだから問題だ。  おそらくは貴族所有の私兵とはいえ、『イストリア軍』が『ネフティスの傭兵』に遭遇したのだ。  穏やかにことが進むはずがない。  事実、向こう側の幾人かは剣を構え、後ろの方で神術に用いる杖が見え隠れしている。 「どうするのよ、この状況っ」  小声で語気を強めるルナの声で、混乱していた頭が一旦現実に戻ってくる。  とにかく、本気でこの場をあやふやにしないとまずい。  クルト-ラは一度だけ深呼吸をして、やけくそ半分に聖印を切る。  何年も使っていないし、媒体の杖もないが、使えなくなっている訳ではないはずだ。 「天におわす御神御霊に願い奉る。その御息にて、怨敵の行く道帰す道を阻みたまへ――」  トン、と軽く足を鳴らすと同時に、1m先の視界すら白く塗りつぶす濃霧が、一帯を覆った。
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