五・報告と自己分析についてのレポート

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* * * * 「遅かったわね」  借りた部屋に戻ると、何故かルナがいた。  テーブルに酒と肴が広げて、一足早い晩酌中といった様子で。 「ルナさんの部屋って隣ですよね? 僕部屋間違えました?」 「あってるわよ?私が話があって部屋で待っていただけ」 「明日じゃダメですか?」 「ダメ。私だって疲れてるけれど、いろいろあんたに効きたいことがそれこそ山のようにあるのよ」 「……寝転がりながらで良いですか? いよいよ頭が痛くなってきた」 「答えてくれるなら逆立ちしながらだろうが、剣の素振りをしながらだろうが構わないわ」  にこりと笑うルナにクルト-ラは先にベットの枕とどうかしかけていたパドスト―ルを抱き上げる。  本当に癒しが足りない。茸はこの場にないから柔らかいパドストールの毛で、それを補給する。 「で、あの昼間にあった人ってライツフォル家の人よね」 「よくわかりましたね」 「胸に家紋ついていたもの」  こともなげにルナはいうが、あの状況下でそこまで見ているのはなかなかできないことだ。  伊達に密偵をやっていない、というところなのだろう。 「で、あそこと茸博士との関係は?」  ゆらりと心が揺れるが、自分に気づかぬふりをして答える。 「実家ですよ、あそこが。僕が貴族出身なのはご存知ですよね」  クルト-ラがルナのある程度のことを知っているように、ルナもクルト-ラのことをある程度知っている。  しかし、互いに全部を知っている訳ではない。  案の定、ルナの目はただでさえ大きいのにさらに大きく見開かれた。 「博士、そんなに身分高かったわけ?」 「爵位は伯爵ですねぇ」 「それでその世帯臭さ?その頼りなさは、いかにも貴族のお坊ちゃまって感じだけど」  正直な人である。
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