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「だから苦労しましたよ、こっちにいた当初は」
深々とため息をつくと、パドストールも真似をして首を垂れる。
一週間であそこまで経済感覚が変わることなど後にも先にもないだろう。あの時の生活は、徴兵時より過酷だった。
あった当初のクルト-ラの様子を思い出したのか、ルナも納得したような気の抜けた声を出す。
「今に比べると、あの頃やつれてたものね……で、あなたとの関係はなんなの」
まるで自警団か探偵のように
問いを重ねる。いや、どちらかというと井戸端会議に興じる昼下がりのご婦人か。
目に好奇の色を宿してこちらを見るルナに、
「僕の兄ですよ」
特にためも戸惑いもいれずにあっさりとそういってやると、妙な沈黙が下りた。
「似てないわね。向こう金髪なのになんで茸博士は白髪なの?」
「白髪じゃなくて銀髪ですっ。兄さんは母似で僕は父似なんです」
似てない自覚はある。なんせ、外見も中身も得手不得手においても、ほとんど共通点がないのだ。
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