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とはいえ、決して仲が悪かった訳ではない。
兄――セーリウスはクルトーラがどんなに変なものに熱中してても否定せずにいたし、クルトーラとしても少々ズレてて抜けているが頼りがいのある兄だと思っていた。いまでもそう思っている
こんな場所で、こんな形で、こんな立場でなければ少しは再会を喜べたかもしれない。いや、そうでもないか。
「政治専門の家だったんで会うことはないと思ってたんですが……なんでわざわざあんなところにまで出てきてたんでしょう?」
「貴族全体が手柄を欲しくて焦った結果じゃない?」
「貴族が? なんでまた?」
身体を起こして、訳知り顔で返してくるルナの横顔を見つめてみる。
レヴルもイストリア軍の様子がおかしいといっていたが、何があったというのだろう。
「イーグル家……だっけ? そこの当主が前線に戻ったらしいわよ」
「それはまた……」
それは軍も貴族も焦る訳だ。イーグル家といえばそれだけ影響力のある家であったし。あの国は後ろめたいことだらけだ。
しかし、何がどう自分に関わってくるか解らないから、世の中というのは恐い。
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