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「無理をする初芽さんも可愛いんですけど………
僕は、そのままの初芽さんが1番好きです…っ」
『…っ』
「好き」って言われた!
単純なことに、それだけで先程までの悩みも吹き飛ぶ。
「連れて帰りたい」は余裕綽々で言うくせに、「好き」と言うのは恥ずかしいらしい。
扉に向かって、耳まで真っ赤にして俯く知世さん。
「…卒業したら…いくらでも誘惑して下さい…」
『…?』
聞き取りづらかったけど、そう聞こえた。
その言葉を最後に、知世さんは「早く中に入って下さいねっ!」と扉の向こうに消えてしまった。
…私が高校卒業したら我慢しないってこと?
………それもなんか怖いな
首を傾げながら、私も自分の家に帰ろうと廊下を少し歩く。
取りあえず、知世さんに「帰りたくない」は言っちゃいけないみたい…
また新たな知世さんが分かったような分からないような複雑な気持ちで、自分の部屋への扉を開けた。
知世さんを理解出来るのも、私が「可愛い彼女」になれるのも、いつになるやら…
END
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