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7月下旬。
「道野、来い」
「……」
今月に入って既に5回以上のお呼び出し。
私は返事もせずにカバ部長のデスクまで歩いて行った。
「……あのさ、お前、本気でやる気あるの?」
デスクの前まで行った途端、いつもより小声でいかにも不機嫌っぽく私を見上げるカバ。
「やる気は、……ありますけど」
「この前は備品不足、その前は出張のホテル宿泊人数の予約ミス、書類での漢字ミスは日常的……」
「……」
だって雑務的なこと、全て私に回ってきてるからじゃない。
私にもキャパシティーってもんがあるのに。
可愛い葵ちゃんにはまだ何も頼まないくせに。
ムッとした感情が表情となって出てしまったのだろうか、カバは一層顔をしかめた。
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