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「……。 す、みませ……」 じわりと涙が浮いてくる。 確かに私が悪いよ。 でもこんな風に言わなくてもいいじゃない。 こんな、みんなが見ている前で……。 ズズ、と鼻を啜る音を出すと、部長は、 「いいね。 女はそういう逃げ道があって」 と、下からバカにしたような顔で見上げて言った。 取り乱していたことには変わりないけれど、周囲に対する恥ずかしさと部長に対する怒りで、私は何も言わずにその場から逃げるように離れた。 「何回もこんな説教させるなよー、頼むから」 後ろからこんな部長の声を聞きながら、ハンカチで鼻を押さえ、トイレに向かった。
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