コーヒーに角砂糖

２

「あ」

「……あ」

ビルの廊下に出て小走りでトイレに入ろうとした時、見覚えのあるきっちりスーツと出くわした。

キツネこと吉川さんだ。

「っえ？
今日、でしたか？
来られるの」

ズズズ、と鼻を啜りながら、いつも30か31日に来るのに、と慌てる。

今日はまだ27日だ。

「……社長の予定が立て込んでいるらしく、今日来て欲しいとおっしゃったもので」

吉川さんは淡々と説明する。

聞いてないし、そんなの……。

社長の部屋は同じビル内でも１フロア上なので、吉川さんが来ていたなんて全く気付かなかった。

しかも、こんな気分最悪な日に重ねて……。

カバの次はキツネ……。