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「今月、……ひどいですね」 「……」 ああ……、ここでも怒られるのか。 「知識不足のミスだけじゃなくて、簡単な入力ミスとか書き漏れがあまりにも多いのですが」 「……はい」 ああ、多分私のこと見て言っている。 私はさっき部長に怒られたこともあって、視線を感じながらも吉川さんの顔を見て説教を聞く気になれなかった。 なんで私ばっかり……。 下を向きながら、つうっと一筋涙が顎まで垂れる。 一度泣いてしまった後だと、日頃我慢できる涙も容易く出てしまうものだ。 「……」 「……」 しばらく無言の空間が続く。 でも私は下を向きながらも、吉川さんに凝視されていることだけは分かった。 あまりにも長く続く沈黙。 何? なんでこの人何も言ってこないの? 耐えかねて口を開いてしまったのは、結局私の方だった。 「……何も、聞かないんですか?」 「……。 あなたは聞いて欲しいのですか?」 「……」 ……ぐ。 ちょっと待ってよ。 普通、ドラマや漫画では、“何かあったの?”って絶対優しく聞いてくれる場面でしょ!? 別に慰められたくて出した涙じゃなくて自然なものだけど、この人、人の心あるの? 既に長い沈黙の間に涙は止まっていた。 私は、ゆっくり顔を上げて吉川さんの顔を見た。 ――っひっ!! 何ら変化の無い無表情に、逆に驚いて目を見開く。
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