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しばらくしたら、ようやく落ち着いてきた。 「……」 今日は厄日だ。 部長には怒鳴られ、吉川さんにはこんな醜態を見せて。 泣いてぼんやりしてしまった頭で、もうどうでもいいや、みたいな気分になってきて顔を上げた。 ――あ。 吉川さんの顔よりもまず時計が目に入り、正午まであと10分も無いことに気付く。 「っす、すみません。 時間が――」 「もう今日は諦めましたので、3日以内にまた時間を作って伺います」 「あっ――、っ本当にすみません。 ちょっとお待ちくださいっ」 いつもラスト10分くらいに出すコーヒーを準備しに、隣の給湯室へ慌てて駆け込む。 急いで戻って吉川さんの前に出すと、 「どうも」 と、いつもと変わらない様子でコーヒーに角砂糖を2個入れて静かに啜った。 「あの……、今日はホントにすみませんでした」 ただでさえ時間が押していたのに、泣いて言い合いをしてまた泣いて、結局ほぼ何も出来なかった。 自分が原因だというのは、いくらなんでも分かる。 「……。 あなたが前任の城田さんの穴を埋めようと気負っているのは分かります。 そして周囲がそれを普通に求めて、それがあなたのストレスになっていることも分かっているつもりです」 「……え」 驚いた。 私の当面の悩みをズバリと言い当てられたから。
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