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「しかし、私が言いたいのはそんなことではありません。
あなたが城田さんの代わりをすぐにできるとは思いませんし、期待もしていません」
何?
何が言いたいの?
「もっと根本的な、仕事に対する心構えというか姿勢に問題を感じます。
事実、あなたは業務中であるにも関わらず、この時間を自分の私情により無駄にしました。
会社におけるこのコストの無駄を考えたことがありますか?」
え。
――ええっ!?
流れから慰めモードへ突入するのかと思いきや、説教を続行されていることに気付く。
コーヒーをまた一口口に運び、吉川さんは尚も続ける。
「会社は学校ではありません。
あなたの失敗はあなただけではなくこの会社の価値も下げます。
逆にあなたの成果はあなただけではなくこの会社の向上にも貢献するでしょう。
この意味が分かりますか?」
「は、……はい。
……なんとなく」
確か部長も似たようなことを言っていた。
「……まぁ、あなたくらいの時期だと自分のことや目先のことで手いっぱいで、多かれ少なかれ直面する壁だとは思いますが」
カタ……。
いつの間にか吉川さんはコーヒーを飲みほしており、静かに席を立った。
時計を見るとぴったりお昼12時。
「では、これで。
連絡を入れますので、チェックの続きは近日中に」
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