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「……はい。 よろしくお願いします。 ありがとうございました」 私は頭を下げて、部屋を出た吉川さんを見送った。 いつも通り、綺麗な姿勢で颯爽と歩いて帰っていく吉川さん。 「ふー……」 やはりいつも通りの緊張感の後の疲れがどっとやってくる。 ……でも。 「……」 もう少し話を聞きたかった気がするのは、気のせいだろうか。 言わんとすることはまだしっくりきていないが、彼は私が思う以上に私の状況について理解しているかのように思えた。 未だ握ったままの、自分の涙と鼻水がついた吉川さんのハンカチに目を落とす。 いろいろ説教された中でも、ほんの少し温かみを感じた気がして、ちょっと、……うん、“人の心あるの?”っていうのは撤回しようと思った。      
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